かんから・カン

　長女は中学を卒業すると同時に大阪へ集団就職のため出て行った。僕と6つ違いの長女、年が離れ過ぎてしまい、あまり思い出が記憶に残ってないのだがあの　『集団就職』　へ旅立つ瞬間は鮮烈に記憶に残っている。
　あの頃は　『集団就職』　が多勢を占めていた。高校に行くのが稀であった。姉が大阪へ発つ日は皆で見送りに行ったものだ。
5色のテープが乱舞する程多くの見送り人。そして　『ホタルの光』　の音楽と共に船が出港していく。
あの頃は　「もう二度と会えないもの｣　と信じていた。　46年前の話である。
　長姉は、今年61歳。昨年　『トシビー』　だったのだ。お祝いの言葉もやっていない。
それ程、姉弟の仲が冷え切ってしまった。いや幼い頃の思い出が少ないために単なる　『姉』　というつき合いしかできない。
姉には2人の息子、僕からすれば　『甥』　がいるが、長男の方は沖縄に来ても実家へ立ち寄ろうとしない。そんな間柄になってしまった。
しかし、過去を取り戻す事は不可能なのだ。　悲しいことだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2010年4月12日（月）晴れ